2019 BRM427 埼玉 600 アタック日本海

BRM427 Audax Saitama 600㎞ Attack Nihonkai in 2019, by SHIBATA Akira.
作成 2019/05/04

はじめに

2019/04/28-09:22

今年も目指せ SR (SuperRandonneur) !  そして、昨年は「燃やせ、情熱とハラの肉」を合言葉に減量したが、パワーも減ってしまったので、今年は「パワーアップ」の年と考え、持久力、短時間パワーを増やしたいと思う。  今年一本目のブルべは BRM112 鎌倉 300km で、おおむね計画通りに走り切ることができた。  二月に 300㎞ のブルべに出ようと申し込みをしていたが、諸般の事情(青色申告のための集計とか、医療費関連のアレコレとか)により、出走を断念した。  三月には BRM323 埼玉400 アタック高萩を完走できた。  今回は 600㎞ を走る予定。  昨年の 2018 BRM609 埼玉 600 アタック日本海はスタートから約 370km あたりで吐いてしまい、ココロが折れて、リタイヤした。  今回はそのリベンジも兼ねている。 

まずは復習だが、昨年の 2019 BRM609 埼玉 600 アタック日本海で吐いた原因は、内臓が止まっていたこと、血液の酸性度等の内科的問題があったと想像されることなどが挙げられる。  向かい風が強い中、ガンバって 150W 強を維持したこと、カフェインドーピングが遅れたこと、前日からのカーボローディングがうまく行かなかったことなどが想像された。 

どうも、前日のカーボローディングは睡眠には悪影響を及ぼしているような気がしてきたので、この半年くらいは、朝食を増やすという方法を取ることにしていて、おおむね問題ないような気がする。  また、内臓が止まる件は、三月の BRM323 埼玉400 アタック高萩で、ハラが痛くなって、スタートから 200㎞ の PC でトイレに駆け込んだわけだが、ソレを生かしてチャレンジしてみたい。  詳しくは後述の「走行について、机上の作戦」の項目を参照してくれ。 

今年も目指せ SR (SuperRandonneur) ! 

本番前夜まで

装備

三月の BRM323 埼玉400 アタック高萩を次の週末に控えた週の月曜日の朝、ブルべで使用するシクロクロス用自転車である CX900 に乗っていた当方は左折自動車に進路を阻まれ、体当たりをかまして、落車、本人は前転して左こぶしと左ひざに擦過傷というヤなことがあった。  CX900 の修理がまだ上がってこないので、三月の BRM323 埼玉400 アタック高萩に続いて、短距離用のロード自転車で出走することにした。 

短距離用のロード自転車は、当方にとっての一張羅だ。  構築のリクエストはライドとしては 50㎞ ~ 100㎞ 程度で、平地においては最高速を追求し、下りにおいては旋回性を期待した。  登りは考慮の外だ。  自転車という点では同じ乗り物だが、いつも乗っている CX900 とはきっとピックアップトラックとスポーツカーくらい違う。  ブレーキは死ぬほど効く、というか、いつも乗っている CX900 のカンチブレーキが効かないともいう。  旋回性を重視した構築がなされているので、下りではクイックに曲がるので、石が落ちていても、石の右を通ろうか、左を通ろうかと考えることができる。  CX900 だと、このコースだと踏むなーとか、踏んだら後輪が流れるなーとかになって、コースを変えようと思うほど自由度は高くない。  この乗り味の違いは、ジオメトリ・ポジションにも関わり、ホイールベースはロードのほうが CX900 よりも 6cm 短く、ハンドルは 5cm くらい遠い。  きついカーブでは前輪に足が触れるのでちょっとおっかないし、パニックブレーキで前輪がロックしそうで結構怖いこともある。  でも、丁寧に操作すれば、強力に制動し、ポキっと曲がって、誰よりも早く漕ぎ始めることができるだろう。  三月の BRM323 埼玉400 アタック高萩を走行してみて、存外に尻のダメージが少なかった。  これは、ロード自転車がロード用だからなのか、フレームのせいなのか、ホイールとタイヤのせいなのか、よくわからない。  ……が、 400㎞ で尻のダメージが小さかったことから、短距離用とは言え 600㎞ を消極的ながら乗ってみようという気になった。  なお、 400㎞ は CX900 のシクロクロス用自転車で走ったときのタイム(最近は 20 時間くらい)と比較して、今年三月の BRM323 埼玉400 アタック高萩が特別早かったわけでもなく、タイムは同じくらいだった。 

せっかく軽い自転車だが、前照灯は「ジェントス GENTOS LED ライト ネクセラ 909D NEX-909D 」を二本で、ハッキリ言ってとっても重いが、現時点で AA サイズ(単三型)バッテリーでの長時間点灯は右に出るモノがない。 

ハンドル周りと全体

ハンドル周りは下の写真を見てくれ。  二本の前照灯と、真ん中には Edge520 だ。  下側で micro USB で外部電源接続をしているので、ビニール袋に入れてある。  速度計だが、速度というよりも道のり測定でキューシートを確認するために必須の装備だ。  いつもつけているバックミラーはロード自転車の方にはついておらず、後方確認は目視しかない。 

2019/04/27-10:24

全体としては、水ボトルを二本、輪行袋と工具は背中のポケットに入れた。  また、前輪も後輪もチューブレスな「キシリウム プロ UST」だ。  このお値段で、このクオリティは革命だと言われて、衝動買いした。  とりあえず、短距離では非常によく進む気がする。  長距離ではどうかわからんがチューブレスのやや低圧なところの乗り心地の合わせて尻のダメージ低減を期待したい。 

2019/04/27-15:24

前回同様、ココヘリというデバイス、装備して出走した。  この文章をお読みのあなたは山に登ることがあるだろうか。  本来は、そういう方々のためのサービスであり、デバイスだ。  山で遭難したときにヘリコプターで探してもらって、救助を期待するものだ。  仮に意識を失っていても、帰ってこないと家族が連絡することで、生きているうちに救助されるかもしれないし、動けなくなったときに自分でケータイで電話するなどもあるかもしれない。  亡くなってしまっていたとしても、発見はしてもらえる可能性が高い。 

ブルべでは夜を徹して走行していたりするわけで、もしかすると街灯のない山の中を一人で下って、ガードレールを越えて、がけ下に「あーれー」なこともあるかもしれないが、当方はソロ走行が多いのでそうなったら人知れず多くの方に迷惑をかけそうな気がする。  アタック日本海では都市部を走行することも多く、まったくひと気のない山の中を真夜中に通過する人はそう多くないと思われる。  夜な時間帯は、たいてい新潟から長岡あたりにいるだろう。  当方が過去最高に早い時間に三国峠に到達したときも午前 6 時ごろということで、夜中に山の中はあまりなさそうだ。  しかも二桁国道だから、比較的に人目もある。 

そうは言っても、ブルべはどんな山の中を夜中に通過するかはわからん。  だから、ココヘリだ。  本来は山に行く人用だが、もしかすると沢に落ちちゃった当方を見つけてもらえるかもーという期待だ。 

2019/03/23-10:29

2019 年 4 月 1 日現在、過去一年で 14 件の発生事案件数で発見率 100% だそうだ。  もし、紹介フォームから申し込んでくれると、入会費用が 1000 円引きになる。  その時には、紹介者の名前→「 SHIBATA Akira 」、紹介者の会員 ID →「 002918-019 」と入れてくれると、当方に手ぬぐいがもらえる♪ので、ソの気になったらヨロシク。  当方は山に登らないのであるが、山の中を走るので、家族を心配させないためにも導入したのだ。 

新装備

ハンドルには二本の前照灯だが、路面の凸凹を照らすことでメリットが出るかもと、クイックの右側にバーをつけて、三本目の前照灯を取り付けた。 


コース

コースはスタート地点の生越から北に進んで三国峠(だいたい 1100m くらい)を越えて、新潟まで行って、帰りも三国峠を越えて帰ってくるという、コースは比較的簡単で、二桁国道だからそれほどの激坂もなく、淡々と漕いでくれば帰ってこられるハズのコースだ。  行ってしまえば、長いだけとも言う。  ま、長いだけといっても 6% くらいがずっと続くのもツラいものはあるのだが……  地名は、コース紹介には「越生-沼田-魚沼-五泉-新潟-長岡-渋川-越生」と出ていた。  まぁ、当方にとってはよくわからんが、いつも峠越えて川沿いに下って、支流方面へ上って新潟へ出たら川沿いにずっと上って、峠を越えたら生越まで帰ってくるという、典型的テキトー野郎である。 

コース図

走行について、机上の作戦

当日の予想天気図を見ると、西高東低っぽく、時間が経つと高気圧は東に抜ける。  つまり、最初は北風、後から南風という、ブルべでよくある「ずっと向かい風」のパターンになりそうだ。  しかも、北風が吹くということは、北陸は雪が降るんじゃねぇの?ってことでもある。  この季節だからそうでもないかも知らんが、そこは出たとこ勝負だ。 

体調を見ながらになるが、直近の BRM323 埼玉400 アタック高萩では 150W 強の出力で長い事走れたので、 150W 前後を目安に走ろうと考えた。  タレたらその時はその時だが、決して無理はせず、大出力を出して、昨年の 2018 BRM609 埼玉 600 アタック日本海のように吐いてリタイヤはしないようにと心に刻んだ。  今回の目標は完走。  過去には 2016 BRM1022 あおば 600km 天城越えのように 31 時間を切ったことがあったり、 2015 BRM425 埼玉 600km アタック日本海のように、交通事故に遭う前の過去最強の時期には 600㎞ でも 31 時間前後で帰ってきたことがある。  しかし、完走できた最後の 600㎞ ブルべは 2018 BRM1006 あおば 600km 七里岩白馬で、三十五時間半だったことを考えると、翌月曜日の通常出勤に間に合わせて、生越から茅ヶ崎まで帰りたいので、日暮れ前にはゴールしたいなと願ったのだった。 

時間はともかく、完走するためには自身のコンディションを良好にしたいわけだ。  直近のブルべである BRM323 埼玉400 アタック高萩では、約 200㎞ 地点の PC2 の手前でオナカが張って、グルグルしたのだった。  そして、 PC2 では長い事トイレにこもった。  思い返すとスタートから約 80㎞ の PC1 でプロテインドリンクを飲んだ。  ホエイプロテインと出ていたわけなのだけど、もしかして当方は乳糖不耐症なので、そのせいでハラが痛くなってくだったのではないかと想像した。  当時はそんなこと考えてもいなかったので PC3 でも同じプロテインドリンク飲んだけどな(笑) 

まぁ、とにかくハラが下ってるということは、内臓は動いているわけだと解釈して、今回新しい試みをなしてみたい。  思い返せば、 400㎞ ブルべでさえ、途中で気持ち悪くなったことがあったので、内臓が止まっていたとしたら、内臓を無理やりにでも動かすことができたら、改善するのではないかと想像したのだ。  コースが昨年同様なら 300㎞ ~ 400㎞ の間は都市部を走行するからコンビニもそこそこにあるだろうということで、ハラが痛くてノグソをする可能性もほぼなさそうと想像した。  ということは、 200㎞ 付近で、プロテインドリンクを飲む、もし棚になかったら、牛乳を買って飲んでみようと考えたのだった。  オナカが下るにしても、とにかく内臓を動かすということを試してみたかった。 

また、眠気対策にカフェインドーピングをするわけなのだが、いつも眠くなってから、すなわち夜半過ぎにしていた。  が、それだとイマイチ効きが悪い気がしたので、予想で 300㎞ 付近の PC3 なら出走から 15 時間後くらい、おそらく 21 時前後に到着することが期待される。  もし、向かい風で遅くなっても、夜半過ぎまではいかないだろうと想像した。  あらかじめ予定として、眠くなくても 300㎞ から、カフェインドーピングを行うことを計画した。  最後の PC が残り 70km 程度、ゴールまで四時間程度では飲むのをどうしようかと悩むところなので、そこは走り始めてから決定したいと思った。 

標高の図

ブルべ当日

2019/03/23-02:51

さて、なんとなく夢うつつで眠れたような、眠れなかったような一晩を過ごし、午前 1 時過ぎに起きたら、ヤカンいっぱいにお湯を沸かした。  「ペヤング ソースやきそば超超超大盛GIGAMAX」は売っているところを見ることができない。  仕方ないので、普通のカップ焼きそばの大盛版を三つ食べることにした。  上にも書いたが、当方の場合、前日までのカーボローディングはあまりヨロシクないモヨウ。  というのも、前日の夜にたくさん食べると、暑くて眠れないことが多い感じがする。  だから、当日の朝に食べるというスタイルの方をここ半年くらい試してみて、比較的いいような気がする。  約 2000kcal を先に食べて、ブルべ中にある程度食べて、足りない分はハラの肉を燃やして走るという考えだ。  鶏のササミを前菜に、メインディッシュにカップ焼きそば大盛×3、フライドチキン、アンパンをデザートにして朝食を終えた。 

2019/04/27-01:33

だいたい計画通りに出発できたので、今回はブリーフィングにも参加できた。  なんと、オダックス埼玉代表の妻神さんが三月の末に亡くなっていたとのこと。  直接お話したことはたぶんないが、妻神班のブルべにはたくさん参加させてもらっているので、恩がある。  ブリーフィング前に黙とうがあって、その後説明だったが、道路状況や天候とかそういった注意でコースはキューシートからは変更はないようだった。  今後も名もない参加者の一人として、参加し、盛り上げようと思った。 

2019/04/27-05:38

目標と結果

基本的には今回の目標も完走。  完走できないにしても、せめて、昨年の 2018 BRM609 埼玉 600 アタック日本海でゲロ吐いて、ココロが折れたところは越えたい。 

ダイジェストとしては下のように出力が推移した。  スタートから 16 時間過ぎアタリから出力が下がってタレていることが見て取れるが、スタートから 20 時間後くらいからちょっと盛り返し(そうはいっても 100W 前後とヒドい状態だが)ていて、最後までなんとかその状態を維持できていたモヨウ。  写真で、だらだらと当方の感想をグラフの下に流してみよう。 

出力低下が激しいが、 34 時間 56 分でゴールとなった。  日暮れ前に帰着できた。 

心拍と出力

スタート~ PC1

この区間はだいたい平地だ。  予定ではウォーミングアップも兼ねているので 130W ~ 150W で走行を考えたのだが、雨も降っていてちょっと肌寒かったので、 150W 超えで走行を始めた。  いつも、車検は最後の方に受けて出走することが多いが、今回は多少待ってもいいやと、列に並んだ。 

2019/04/27-05:53

出走してすぐは、皆さん元気だし、当方は出力制限を行っているわけで、だいたい抜かれるばかりであった。 

2019/04/27-06:03

2019/04/27-06:12

2019/04/27-06:43

相対速度差が小さいので、何度も同じ方が写っているかもしれないが、容赦願いたい。  それに、撮影タイミングによってはウィンドブレーカを着ていたり脱いでいたりということで、当方には違って見えることも多い。  というか、区別つかないねんから、許してチョ。 

2019/04/27-06:47

2019/04/27-06:49

2019/04/27-06:50

2019/04/27-06:51

2019/04/27-06:56

2019/04/27-07:14

ラッキーなことに七時半くらいに、当方より早いけど、後ろにいれば何とかついていける三人列車が後ろから抜いてきた。  こりゃー無賃乗車しないとね??  ということで、ちょっと出力高めで着いて行ったのだった。 

2019/04/27-07:33

雨も上がり、曇りから、青空へと変わって、北風の中、北向きに進行しているとやっぱり列車はありがたいと感謝しながらついて行ったのだった。  この三人列車、信号からのスタートの加速が鋭く、トルクの小さい当方はスタート後はガンバってもどうしても離れてしまう。  かといって、離れたままだと中切れしてツラい走行になるので、数分かけて追いついて、楽をさせてもらった。 

2019/04/27-07:51

2019/04/27-08:10

2019/04/27-08:11

2019/04/27-08:11

2019/04/27-08:18

北上するとどんどん北風は強くなった。  青空も広がり、前橋の辺りではまさに桜吹雪の中を風を切って走ったのだった。  いや、風を切ったのは列車の先頭で、当方はついて行っただけだけどね。 

2019/04/27-08:54

2019/04/27-09:03

2019/04/27-09:04

2019/04/27-09:30

2019/04/27-09:34

2019/04/27-10:02

なんかさー、 PC1 に近づくとね、山の上に雲がかかっているのが見えてきたのよ。  「あれ、(雪が)降ってますよね」「ですよね」みたいな会話を信号待ちの時にしたりして、スタートから約 97㎞ の PC1 に四時間ちょっとというオドロキな速度で到達したのだった。 

2019/04/27-10:14

PC1 ~ PC2

朝食の焼きそばの貯金があるので、軽く済ませた。  少し暑くなっていて、水分補給を重点的に行った。 

2019/04/27-10:21

PC1 を出ると PC2 までおよそ 100㎞ で、途中に牛丼屋があって、そこに寄るか、 PC2 まで行ってしまうか悩ましいところだ。  走りながら決めようと思った。  なんてことを考えながら、 PC1 を発ったわけだが、電柱の向こう、山があるのだけど、雲の中というか、雪降ってるでしょ!という感じに見えた。  あと 20㎞ くらいか!とか思いながら走ると、もうちょっと余裕があった。 

2019/04/27-10:37

11 時くらいになるとかなり向かい風(北風)が強くなってきた。  顔にも時々冷たいものがつくようになった。  もしかして風花ってヤツか? 

2019/04/27-10:56

2019/04/27-11:15

猿ヶ京の赤谷湖を横断してこいのぼりが目指しヨロシクあったのだが、これが頭から尾まで水平にちかく、そう -5 度くらいと本当に真横になってるくらいで泳いでいた。  つまり、風がとても強く、走り始めて 100㎞ ちょっととまだ脚がフレッシュだから、何とかなったが、そんな中を登っていて、オレってアホだなぁと思いながら漕いでいた。 

2019/04/27-11:21

さらに登っていくと、ウメとモモとサクラが一緒に咲いている集落を通過した。  非常にきれいで、目を楽しませてもらった。  帰りもここを通過するときは感動した。 

2019/04/27-11:33

国道 17 号を三国トンネルへと登って行くと、どんどん風が強くなった。  明らかに雪が飛んできていた。  一度は、あまりの風の強さに足をついて、少しマシになるのを待ったくらいだ。 

2019/04/27-12:18

三国トンネルの長いトンネルを抜けるとそこは雪国なんてことはなく、恐れていた「道路に溶けかかったシャーベットが載っている」状態でもなく、おおむねドライな路面だった。 

2019/04/27-12:31

下り始めて速度が出始めると、顔にちく……ちく……ちくちく、チクチクチクチクと顔が痛くなってきた。  さらに速度がでて、イタイ、イタイ、痛い、痛い、いたい、いたい~~~~~~っ、顔に雪がビシビシ当たって痛いのだ。  幸いにして、目を覆っているサングラスのおかげで視界はおおむね良好だが、いくらツラの皮が厚い当方でも痛いモノは痛い。  およそ 6% の下り坂の終端速度はおそらく 60km/h を超えると思う。  が、強い向かい風で漕いでも 40km/h がせいぜいだった。  漕いで速度を上げると顔がとても痛いし、漕がないと速度が上がらないけどやっぱり顔が痛い。  そんなわけで、ボチボチ漕いだ。 

2019/04/27-12:34

2019/04/27-12:36

ここから当方の雪中というか雨中走行が始まった。  始めは物珍しさから、雪景色を撮影していたが、だんだん指先が冷たくなり、痺れ、痛くなり、かじかんだ。  トンネルは暖かいという経験があって、入ってみると……「どわー、見えないー!」  冷えたサングラスは高い湿度で気温が高いトンネルの中でいきなり曇った。  しかも、暗いので、前が全然見えない。  ビビったわー。 

2019/04/27-12:42

寒いけど、雪のない、サングラスも曇らないところのシュノーシェッドはなかなか安心できる場所だった。 

2019/04/27-12:55

いいかげん、ハラが減っていたので、牛丼屋に寄って、豚丼を食べた。 

2019/04/27-14:58

スタートから九時間半でおよそ 197㎞ の PC2 に到着した。 

2019/04/27-15:24

PC2 ~ PC3

ここでは、机上の作戦通り、プロテインドリンク飲んだ。  タンパク質補給もそうだが、乳糖でハラをゴロゴロいわす予定。  あとは、寒いのでラーメンと暖かい飲み物を補給とした。  そうそう、手がかじかんで箸が使えなくて、握り箸にして、フォークも同然に使ってラーメンを食べたのだった。 

2019/04/27-15:30

2019/04/27-15:50

2019/04/27-16:20

2019/04/27-16:51

PC2 を出てから、前照灯をつけ始めたりしたのだが、どうもポジションが決まらない。  本格的に暗くなる前に!と光軸合わせも含めて何度か止まって修正したが、ある時、がっくんと保持バーが下がった。  よく見ると固定ボルトのところで支持部品が破断していた。  そんなわけで、かじかんでよく動かない指を使い、およそ 50 分くらいかけて、保持バーを使用しないで、前照灯二本と、 Edge520 をハンドルバーに付け替えた。 

2019/04/27-16:57

保持バーが邪魔で非常に作業が難航したのだった。  かといって、ニッパーとか持ってなかったので、保持バーが落ちないようにしていたインシュロックというか、タイラップというか(どっちも登録商標なのだが、アレ系の結束バンドね)で留めていたため、切ることができなかったのだった。  まぁ、とにかくハンドルに固定して、マシな状態にして、再出走した。 

2019/04/27-17:33

2019/04/27-18:12

PC2 の手前、浦佐駅のそばでちょっと雨が上がって、それ以降ずっと降っていたが、 PC2 を出てちょっと雨が上がって夕焼けが見えた。  このまま雨が上がってくれることを願った。 

2019/04/27-18:17

願ったからと言って、それが叶うとは限らない。  というか、雨のない区間などほぼなくて、すぐに雨の中に突っ込んで、ずっと雨の中を走った。 

2019/04/27-20:18

出走から 15 時間後、およそ 300㎞ 先の PC3 に到着した。  あの酷い向かい風の中を走ってきた割には早いので、出力が大きすぎ=去年の二の舞でゲロ吐いてリタイヤが頭をよぎり、無理をしないことを念頭に PC4 (通過チェック) まで走ろうと思った。 

2019/04/27-21:06

PC3 ~ PC4(通過チェック)

イートインがあっても、いつもは「そんなヌルいところにいると外に出られなくなるから、外で食べる」と言って寒い中で食べていた。  が、寒くてさ、かじかんだ指はもう野菜焼きそばのビニールを外すこともできなくなっていたのよね。  暖かいコーヒーのペットボトルを両手で包み込んで、解凍して、少し動くようにしてから、野菜焼きそばを箸という名の棒で食べたのだった。  本当はミルクティーが飲みたかったのだが、紅茶がどこにもなくてね、カフェオレということで、計画通りカフェインドーピングをした。  なお、ハラがゴロゴロも言わず、おかしいなぁと思いつつ、寒くて、冷たいプロテインドリンクを飲む気にはなれなかった。 

2019/04/27-21:20

あまり風は強くないが、だんだん南風に変わるハズなので、少しでもラクをしたいと進んだ。  国道 8 号に出た頃は手はかじかんでいたが、雨はなんとなく上がったような状態になっていた。 

2019/04/27-22:09

この辺だと思うけど、昨年の 2018 BRM609 埼玉 600 アタック日本海で吐いたのはどこら辺だったかなーと思いつつ走っていると、公衆トイレを発見したので、あまり催してはいなかったが、寄って軽量化した。  オシッコはいつでも出る。 

2019/04/28-00:46

結局は吐いた場所はわからず、いつの間にか通過チェックである PC4 のそばまで到達し、まじめに走った。 

2019/04/28-01:55

PC4(通過チェック)~ PC5

微妙に吐き気はあったが、補給が少ないし、ココから PC5 までは 156㎞ あるから、それは三国峠の向こうまでということでもあったから、多めに補給ということで、ラーメンとおにぎり、そしてプリンとした。  カフェインドーピングに、相変わらず紅茶がなく、またカフェオレを飲んだ。 

2019/04/28-02:05

普段は前しか見てなくて、周囲をあまり見てないものだから気づかなかったが、道の駅(ちぢみの里おぢや)があることに気づいた。  トイレがあることを期待して、寄ってみると自転車が置いてあった(下の写真、中央やや右)。  オダックス埼玉ジャージの方ともう一人の二人がベンチで寝ていた。  さすがに写真を撮るのはハバかったので、外にあった自転車だけを撮影することにした。 

2019/04/28-03:50

周りが明るくなってくると山に雪が積もっていて、雲がかかっているのが見えた。  三国トンネル付近まで上がると、降ってるのかなーと思いつつも走行した。 

2019/04/28-05:04

吐き気は相変わらずスコーシあったが、残りは 200㎞ ちょっとということで、ちまちまと漕いでいけば完走はできそうだと思い、「うな牛」という丼ものメニューを選んだ。  うな丼と牛丼を一つのどんぶりというモノだ。  基本的な補給として、次は PC5 まで、ガンバろうという気になった。 

2019/04/28-05:56

ちょうど牛丼屋を出るときに、二人のライダーが目の前を通過した。  すぐに追いつくわけでもなく、やや離れたところを走っていたが、信号で追いついちゃった。  が、信号スタートでは置いて行かれるので、当方よりもお二人のほうが脚が残っていると想像された。 

2019/04/28-06:09

湯沢の健康ランドを過ぎて、ノドが渇いたが、水を飲むのはどうも気が進まなかった。  そこで、コンビニに寄って、またコーヒーを飲んだ。  どうもコンビニには、紅茶はないような気がした。  途中の道路標示では、この先の気温が 0 ℃とかあって、「マヂか!」とつぶやいてしまった。 

2019/04/28-07:15

前日の花散らしの雨というか雪と風があった割には、桜の花もいい感じに咲いていた。 

2019/04/28-07:54

このルートでいつも寄っている二居の公衆トイレには、今回は往路、復路ともに寄らなかった。  この辺で撮影し、ページの冒頭に掲げた写真を見ると木の幹の片面に雪がこびりついているが、かなり強い風雪だったのだろう。  また、この辺のトンネル(二居トンネルあたりか?)で路肩に寄ったら、泥で前輪が滑って、転倒した。  幸いにして、たいした速度は出ていなかったので、すっころんだという感じで済んだ。  ダメージは、右手の手袋が少し破けた、上半身のジャージがどろで汚れた、自転車も泥がついた、右のモモというか尻を打撲(五日経ってもまだ痛い)した、右のヒザ打撲(内出血)、たぶんだけど、背中にしょっていた黒い工具入れ(タイヤチューブと補充用ガス、ミッシングリンク、非常用のオカネ(一万円くらい)、パンク修理セットなど)をここで落としたっぽい。  ゴールして装備解除しているときにない事に気づいた。  140km くらい自動車で探しに行くほどのモノでもないので、あきらめた。  自動車も来ていなかったので、轢かれずに済んだともいえるから、その後はあまり端っこに寄らないようにして走行した。 

2019/04/28-09:01

三国トンネル通過は 12 時ごろになるか、 10 時頃になるか、その丁度まんなかくらいかなど考えながら登っていた。  無心に漕いでいたら 10 時ちょっと前に三国トンネルに到達した。 

2019/04/28-09:51

三国トンネルを通過すると下りなのだが、向かい風が強い。  雪が降っていないから、顔にあたるものもなく、顔はイタクナイ。  が、腰が痛い(筋肉痛)ということで、困った。  しかも、下りで脚を停めていたら、猿ヶ京の辺りの短い緩い登りで脚が動かないことが発覚。  自販機に寄って、ついに紅茶発見! 

2019/04/28-10:46

脚が動かないことがわかって、下りのうちにアイドリングというか、無負荷でクランクを回して、とにかくペダルを漕げるように準備運動をした。 

2019/04/28-12:20

PC5 ~ゴール

向かい風の中を漕いでいて、ハラは減ってるのだけど、疲れ切っちゃっていてね。  結局、ひどく吐き気を催すわけじゃないけど、食えないわけよ。  内臓停止中という感じ。  ということで、ジェル摂取。 

2019/04/28-12:27

坂を上っているときに、なんか、キコキコ言ってるなと思って、 PC5 でチェーンを見ると油がすっかり落ちて、何かキレイ!  一滴づつたらせるし、安いからラー油でもたらそうかと思ったが、後で洗ってもごま油のニオイがしそうだったので、やめた。 

2019/04/28-12:27

漕いでいて、どんどんハンガーノックっぽくなってきていたので、止まった内臓でも補給できたような気がしたジェルを再度購入した。 

2019/04/28-14:36

っちうことで、ひと気のないニューサンピア生越の駐車場に 16:56 ゴールした。  コールでの話によると、どうやらブルべのコースの上に雨雲がかかっていて、 twitter とかでみんな大変な目に遭っていたようだ。 

その後

当日

片付けているときに眠気が来たら駐車場で仮眠を取ろうと思ったが、特にそうでもなかったので、駐車場を出発した。  駐車場を出るときに後続のブルべライダーがゴールしてきた。  さらに県道 30 号に出るときにもさらに後続がゴールしてきた。  当方と違って、みんな元気だなぁと思いつつも進路を南にとって、狭山インターから圏央道に乗り、すぐ先の狭山パーキングエリアに入り駐車した。  三月の BRM323 埼玉400 アタック高萩の帰りに狭山パーキングエリアで仮眠を取ったときに寒かったので、今回は毛布を持参した。  眠い感じはしなかったが、暖かい感じをしっかり感じて目を閉じた。  ピピピピピという目覚ましの音で目が覚めた。  しっかり一時間ほど眠ったようだ。  頭がすっきりしたので出発した。 

さらに南下して、眠いわけではないが、頭がボーっとしているような気がしたので、厚木パーキングエリアに入った。  ふと見ると、第二駐車場の表示があった。  行ったことがなかったので、行ってみると本当に駐車場だけで、トイレやユーティリティなど何もない場所で、一台も止まっていなかった。  仮眠には、これ幸いとばかり端っこに停めて、また仮眠を取った。  結局、ここで二時間ほど眠って、茅ヶ崎の自宅に帰宅した。 

2019/04/28-20:22

帰宅したら、衣類だけを自動車から下ろし、洗濯をした。  自転車は洗いたかったので、自動車に積んだままとした。  シャワーを浴びて、プリンを食べて眠った。 

翌日

お仕事で、駅まで歩き、普段は全部階段だが、エレベータとエスカレータを使って通勤した。  ヒザが少し痛いくらいで、脚は疲労だけで済んだ。  しかし、腰の筋肉痛(もしかすると腱痛かも)は金曜日まで後を引いた。 

考察

脚の残り具合

PC4 以降 100W ~ 130W くらいと非常に低い出力で漕いだが、今回はもう限界という感じだった。  最後の PC5 ~ゴールは約 70㎞ なので、当方の標準的ブルべ係数は 20km/h なのでおよそ三時間半だが、実際には四時間半かかった。  向かい風(南風)であることを割り引いても、三割も多く時間がかかるってのは、かなりヘロヘロだったと言えよう。 

心拍と出力

Garmin Connect による分析では TSS が 1075 となっている。  使用エネルギー 10,490kcal は最近としては最も消費したことになっている。  最近の当方史上、最もガンバったブルべの一つだったと言えよう。 

Garmin Connect

吐き気対策

やってみた吐き気対策を挙げてみる。  ただし、当方のマネして、死んでも、当方は責任は取らない。  すこし吐き気は出たが、食べられないという程度で済んだ。 

  1. 朝食に「カップ焼きそば」を三個食べてみた
  2. 出力を抑えた
  3. 乳製品を摂った

先頭のカップ焼きそばだが、ペヤングの超大盛を食べていた 3,4 年前は結構イケてたというか、あまり吐き気に悩まされていなかったような気がするので、朝食カーボロードしてみたということだ。  というのも、前の晩にたくさん食べると、どうも寝つきが悪いような気がしていたので、いつもよりちょっとだけ豪華な夕食にして、当日朝にたくさん食べるということにしてみた今年一本目の BRM112 鎌倉 300km 、二本目で前回の BRM323 埼玉400 アタック高萩だったので、今回も同じようにしてみた。  効果があったかどうかは何ともいえない。

二つ目の出力を抑えたというのが最も効いた気がするが、実際には前半は抑えたが、後半は出力できなかったというのが真実だ。  まぁ、無理して出力していたことはあるが、今回はそうでもなかった。  それでも、 TSS が久しぶりに 1,000 を超えるということで、ラクな 600㎞ ブルべはないといえる経験だった。 

三番目の乳製品を摂ったのは、計画倒れだった。  もう一回プロテインドリンクを飲めばよかったかもしれないが、幸か不幸かハラは下らなかった。  来年はたくさん牛乳を飲んで、ハラを下してみるか! などとおバカなことを考えてみる。  当方の乳糖不耐症は軽くて、一リットルの牛乳を購入して、牛乳をかけてシリアルを食べると、三回目くらいまではユルいが、四回目くらいからは普通になってしまうくらいで、一か月前の BRM323 埼玉400 アタック高萩でハラがなれていたかも?  二回目を飲むこともちょっと考えたのだが、寒くてね、低体温症を恐れながら、雨の中を走っていたくらいだからして、難しかったかな。 

尻のダメージ

いつもキネシオテープを貼って尻を保護している。  今回もそうした。  それに加えて、今回はフェイスタオルを二つ折りにして、オムツのように股間に挟みつつ、尻に敷いた。  ブルべの後半に尻が痛くなってから、 PC でタオルやぞうきんを買って、尻に敷いたことがあったが、今回は初めてスタートから入れてみた。 

多分だが、過去の 600㎞ で最も尻のダメージが小さい気がする。  もちろん、この文章を書いているゴール後約一週間で、尻にはいつもできているカサブタが存在するのは間違いないが、それでもトータルとしてダメージが小さかった気がする。  もしかすると、脚がヘロヘロだったために尻のダメージが相対的に小さく感じたのかもしれない。  あるいは、ロード自転車とチューブレスのタイヤ・ホイールセットが本当に尻へのダメージを小さくしたのかもしれない。  タオルを尻に敷くのは 600km のブルべに出るときにはまた試したい。 


最後に

妻神さんの冥福を祈りつつ終わりにしたい。  オダックス埼玉の方々、サポートのメンバー、各出走者には感謝している。  この場で感謝の意を表したい。 

ということで、 2019 年の三本目は終わった。  300km 、 400㎞ 、 600㎞ を走ったので、あと一本はどんな距離の BRM でも SR だな。  気分は、四面張(よんめんちゃん)で聴牌の状態。  早めに SR を名乗れるようになりたいな。  といいつつ、仕事のスケジュールを合わせると難しいなぁ。  質問・意見・感想も歓迎だ。 


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